九九(かけ算の表)は、むずかしいものではありません。表を上から順に唱えていく、いつものやり方だと、時間がかかって退屈なだけです。このガイドでは、かしこい順番、いくつかのパターンのコツ、毎日の短い練習で、九九を早く覚える方法を紹介します。子どもにも、九九がどうしても身につかなかった大人にも役立ちます。
九九をいちばん早く覚える方法は?
九九をいちばん早く覚える方法は、覚える式の数を減らすことです。3×7と7×3のように、かける順番を入れかえたペアは一つの式として数えます。かんたんな段で表の大部分がうまり、パターンを使えば、知っている式から新しい式を導けます。そのうえで、読み返すのではなく、毎日数分間、答えを記憶から思い出す練習をしましょう。
覚える量がどれだけ減るか見てみましょう。1×1から10×10までの表(九九に十の段を加えたもの)には、100の式があります。6×8と8×6は同じ答えになるので、ちがう式は55だけです。かんたんな数え方のパターンでできる1の段、2の段、5の段、10の段を覚えれば、55のうち残るのはたった21です。
何を練習するかと同じくらい、どう練習するかも大切です。2013年、ジョン・ダンロスキーが率いる心理学者のチームが、よく使われる十種類の学習法を検証し、そのうち二つを「有用性が高い」と評価しました。その二つとは、練習テスト(思い出す練習)と、練習を時間をあけて分散させることです。読み返しの評価は「低い」でした。
九九の場合、練習テストとは、答えをもう一度見て確かめるのではなく、フラッシュカードやクイズ、ゲームを使って「7×8は?」に記憶から答えることです。壁にはった九九の表は勉強した気分になりますが、式を読むことと、式を思い出すことは同じではありません。
九九はどの順番で覚えればいいですか?
すでに知っていることを土台にできる順番で覚えましょう。まず1の段、2の段、5の段、10の段から始めます。次に、2の段を倍にして4の段を、指を使ったコツで9の段を覚え、そのあと3の段に進みます。そうすると、丸暗記が必要な式は六つだけになります。
この順番で進めると、1×1から10×10までの表がどれだけ早く小さくなるか、次のリストで確認できます。
- 表全体から始めます。入れかえたペアは一つと数えるので、6×8=8×6です。まだ覚えるちがう式の数は55。
- ステップ1:1の段、2の段、5の段、10の段を、数え方のパターンで覚えます。まだ覚えるちがう式の数は21。
- ステップ2:4の段と9の段を、倍にする方法と指のコツで覚えます。まだ覚えるちがう式の数は10。
- ステップ3:3の段を、2の段にもう一つ分たして覚えます。まだ覚えるちがう式の数は6。
- ステップ4:6×6、6×7、6×8、7×7、7×8、8×8を、下で紹介するコツと、たくさんの思い出す練習で覚えます。まだ覚えるちがう式の数は0。
つまり、表のむずかしい部分は百ではなく、六つの式だけです。お子さんがもうよく知っている段を唱えるより、この六つに練習の時間をかけましょう。
九九の先にある11の段と12の段まで求める学校も多くあります。11の段は11×9まで同じ数字が二つ並び、22、33、44のようになります。12の段は10の段と2の段をたしたものなので、12×7=70+14=84です。
かけ算を覚えるいちばんのコツは?
いちばんのかけ算のコツは、むずかしい式を、すでに知っているかんたんな式に変えることです。倍にして4の段と8の段を、指を使って9の段を、5の段にもう一つ分たして6の段を出します。これらのコツは数字と指しか使わないので、どの言語でも使えます。
4の段と8の段は倍にする
4をかけるときは、二回倍にします。4×7なら、7を倍にして14、14を倍にして28です。8をかけるときは、三回倍にします。8×6なら、6から12、24、48と進みます。
9の段は指を使う
両手の指を十本全部立てます。9×7なら、左から七本目の指を折ります。その左に六本、右に三本の指が立っているので、答えは63です。
確かめ方もあります。9×1から9×10まで、どの答えも各位の数字をたすと9になります。63なら6+3です。また、9×7を「10×7から7を一つ引いたもの」と考えて、70−7=63と出すこともできます。
6の段は5の段から作る
8が六つは、8が五つにもう一つ8をたしたものです。8が五つで40、40+8=48なので、6×8=48です。同じ考え方で、2の段から3の段も作れます。3×8=16+8=24です。
むずかしい式を二つのかんたんな式に分ける
どの式も、お子さんがもう知っている部分に分けられます。7×8なら、8が五つと8が二つに分けます。すると40+16=56です。
7の段を覚えるコツはありますか?
7の段のいちばんのコツは、コツがほとんどいらないことです。10の段までのほかの段を覚えていれば、7の段の式は、7×7をのぞいて全部、入れかえたペアでもう覚えています。それでも7の段の式が出てこないときは、7を5と2に分けて、二つの答えをたしましょう。
7×6なら、6が五つで30、6が二つで12なので、7×6=30+12=42です。7×8は、56=7×8の数字を見てください。5、6、7、8と順番に並んでいるので、まちがえやすいことで有名なこの式も、イメージしやすくなります。
残るのは7×7=49です。これは平方数(同じ数どうしをかけた数)のなかまなので、となりの6×6=36、8×8=64といっしょに、一つの小さなセットとして練習しましょう。
九九は毎日どれくらい練習すればいいですか?
時々長くやるより、毎日短くやるほうが効果的です。週末に一回長くやるより、ほとんど毎日、できれば毎日同じタイミングで五分から十分、思い出す練習をするほうがうまくいきます。練習を分散させると、練習と練習のあいだに記憶が定着する時間ができます。だからこそ、学習の研究で高く評価されているのです。
十分間の練習は、たとえばこんな形です。
- 二分間:お子さんがもう知っている式で準備運動をして、自信をつけます。
- 五分間:4の段や最後の六つの式など、いま取り組んでいる目標を練習します。
- 三分間:わり算もまぜた問題を出します。6×8=48なら、48÷8=6、48÷6=8です。
最後のステップは続ける価値があります。イングランドのナショナル・カリキュラムも、アメリカのコモン・コアも、かけ算の式とわり算の式をセットにしています。「ろくはしじゅうはち(6×8=48)、しじゅうはちわるはちはろく(48÷8=6)」のように、ひとまとまりで唱えると役立つと感じる保護者も多くいます。
通学の時間や夕ごはん前の数分など、家族が本当に続けられる時間を選びましょう。がんばりすぎることより、続けることのほうが大きな力になります。
すばやく思い出せるようになるには、たくさんのくり返しが必要です。むずかしいのは、子どもがそのくり返しを嫌がらずに続けられるようにすることです。Math Maxのかけ算ゲームでは、正解するたびに一対一の対戦でパンチが決まります。九九のレベルでは、2×2から9×9までのすべての式がまざって出てきます。子どもは遊んでいる感覚のまま、研究がすすめる「思い出す練習」ができます。
子どもは何歳までに九九を覚えるべきですか?
多くの国の学校制度では、9歳ごろまでに九九をすぐに思い出せることが求められます。イングランドのナショナル・カリキュラムとアメリカのコモン・コアは、どちらも多くの子どもが9歳になる学年をこの目標の時期にしています。イングランドは12×12までのすべての段を、アメリカの基準は9×9までのすべての式を対象にしています。
子どもはふつう、かんたんな段からもっと早く始めます。イングランドでは、多くの子どもが7歳になる学年で、まず2の段、5の段、10の段を学びます。その翌年に3の段、4の段、8の段が続きます。
これらの年齢は目安であって、締め切りではありません。一、二年遅れて身につける子もたくさんいますし、大人もまったく同じ方法で、何歳からでも九九を覚えられます。
子どもがつまずいたり、練習が涙で終わったりしたら?
練習が涙で終わるなら、長くするのではなく、短く、かんたんにしましょう。お子さんがもう知っている式にもどり、毎回の練習を正解で終わらせ、小さなセットを一つずつ進めます。ストレスを感じている子どもは頭がうまく働かないので、緊張した三十分より、毎日数分のリラックスした練習のほうが効果的です。
よくあるのは、4×7を出すのに7、14、21、28と数えていくように、毎回数えて答えを出す子どもです。これはよいサインです。かけ算の意味がわかっている証拠だからです。次の目標は、答えまでの道のりを短くすることです。数えずに答えが出るまではその式を「考え中」リストに入れておき、出るようになったら「覚えた」リストに移しましょう。
もう一つよくあるのは、7の段を順番に唱えることはできるのに、7×6だけを聞かれると固まってしまう子どもです。段を唱えることと、一つの式を思い出すことは、別の力です。問題の順番をまぜて、どの式も単独で答えられるようにしましょう。
定期的に、リラックスして練習してもつまずきが続くときは、担任の先生に相談しましょう。数の計算でつまずく原因はいろいろあり、先生や専門家が何が起きているかを見てくれます。
毎日数分の「思い出す練習」で九九は定着します
かしこい順番で九九を覚え、倍にする方法、分ける方法、指のコツですきまをうめ、くり返し練習は最後の六つの式にとっておきましょう。そして、短く毎日続けます。かけ算に自信がついたら、Math Maxのわり算ゲームで、同じ式を逆向きに使ってみましょう。ここで九九がしっかり定着する子どもがたくさんいます。一日十分の落ち着いた練習のほうが、週末の長い練習よりも、お子さんをずっと先へ連れていってくれます。
